逃げ上手の若君-吹雪の正体や過去は?裏切り(寝返り)についても

公開日: 2023年11月25日 | 最終更新日: 2024年8月14日

 

逃げ上手の若君】の主人公、北条時行には少年少女の郎党がいます。

時行の郎党・逃若党の中で最強の戦力は、やはり吹雪でしょう。

盤面を支配する軍師、子供たちに戦い方を授ける教師、そして二刀流の使い手としてその辣腕を振るっていますね。

しかし、吹雪は出自も経歴も謎が多く、登場初期からファンの中でも「こいつ裏切るんじゃ?」という疑念を持つ人が多かったようです。

裏切ります!!

 

今回は、そんな吹雪の裏切りの理由などを解説していきます!

この記事を読んでわかること
  • 吹雪の「正体」や「過去
  • 吹雪が「裏切った理由
  • 食事に執着する吹雪の「餓え」や「その後」について

 

 

 

 

吹雪の正体や過去は?

 

涼やかな目元と冷静な頭脳、そして二刀を自在に操るその武力。吹雪は、時行が持つ戦力の中で最大のものと言えます。

出会いこそお互いを賊だと勘違いして刀を交えましたが、誤解が解けた後は時行の郎党となり、時行を「我が君」と呼ぶようになりました。

吹雪は時行の教師としても非常に優秀で、「鬼心仏刀」「二牙百刃」などの技を授けました。

時行が逃げるのではなく刀を持って戦うことができるようになったのは、吹雪の功績によるところが大きいです。

時行も彼に「吹雪ならこの士気ダダ下がりの味方をなんとかする策を閃いてくれるよな?(曇りなき眼)」というナチュラルな無茶ぶりをするほど、非常に頼りにしています。

 

しかし中先代の乱の最中、はじめて吹雪の口から自分の出自が語られ、その内容に時行は大きく驚きました。

では、そんな吹雪の正体や過去とは?

ここからは、詳しく解説していきます↓↓

 

正体① 足利側の下級武士

原作86話「爆走1335」

のちに「中先代の乱」と呼ばれる、時行が初めて参加した本格的な戦。

この回は、関東庇番の今川という馬の人が手の付けられないバーサーカーとなって戦場を蹂躙し、味方の士気が下がっていたところでした(あと時代錯誤のピットインがすごかった)

そんな状況下でありながら、吹雪は関東庇番・上杉憲顕の投入した「人造武士」と「足利学校」という言葉に激しい動揺を見せ、敵前で隙を見せるという失態を冒します。

尊氏を暗殺しようとしていた時から違和感を覚えていたというゲンバからズバリ、「お前、足利の手の者じゃねーの?」と問われた吹雪。

そこで観念したように、吹雪は「申し訳ございません我が君。自分はもともと足利方の下級武士の出です」と語りました。

 

 

正体② 足利学校の出身者

上記でも触れましたが、吹雪は足利学校の出身者です。

足利学校とは、作中では上杉憲顕が牛耳る人造武士実験ラボ・忍者育成機関のようになっていますが、まあ足利の戦力を育てるための学校という認識でいいと思います。

そこから脱走するまで吹雪は、間違いなく「足利の為に」刀を振るっていたのです。

アニ木
アニ木
ちなみに、吹雪と出会ったエピソードである征蟻党の一員・腐乱も実は足利学校の出身者だったということが明らかになりましたね

 

しかし、これらを聞いても時行には何の動揺もありませんでした

敵方・足利の出身であるということは、これまでの吹雪の功績をなんら損なうものではない、これからも自分に力を貸してほしいと、王の気質を以て吹雪を丸ごと受け入れました。

どれほどの才覚を持っていても、身分の低い下級武士だというだけで、消耗品のように扱われる時代。時行の言葉は吹雪の胸に深くしみわたり、吹雪は時行に対しその忠誠心を新たにしたのでした。

……したの……ですが……!

 

正体③ 高師冬(こうのもろふゆ)

吹雪という冬を連想させる名前から、実は彼、足利尊氏の庶子(妾の子)「足利直冬」なのでは?と一部読者の間でざわざわされていましたが、106話「父子1335」。

猶子(養子)にしたばかりの高師冬が初陣であっさり戦死し、どうしようかと考えていた高師直に見いだされた吹雪は、「今後はお前が高師冬になれ」と仮面を渡され、それを受け入れます

要するに、足利に寝返った吹雪。

冬って……そっちかい!!!!

 

史実知らない勢はもちろん、史実存じ上げ勢もの度肝を抜いた接続でした。

まあ足利直冬も高師冬も、どっちでも足利勢であるのは一緒なのですが……。

高師冬、史実では政争に巻き込まれ、時行とは無関係の場所で戦死します。

この漫画では……果たして……

 

 

過去① 父親からの過剰な期待

原作86話では、吹雪が時行の郎党となる前のエピソードを知ることができます。

吹雪の文武が時行の郎党の中で群を抜いているのは前述のとおりですが、それを吹雪は「足利学校で学んだもの」と告白しました。

足利の下級武士である吹雪の父親は、自分では出世の目がないと見るや優秀な息子の才能に付け込み、吹雪に虐待という名の鍛錬を課していました。

「今の時代は所詮、家柄が最優先! われらの家柄では並の才では出世できぬ!」→「だから死ぬほど努力しろ!」と、こういう理論で。

昼は足利学校に、夜は父から休まず鍛錬、という虐待を吹雪に課し続けていたのですね。

 

過去② 父親を殺害

吹雪の服の下には、おびただしい「鍛錬の痕跡」がありました。

跡を見て弧次郎は、「鍛錬というより従順にさせるために痛めつけられた傷だ」と察し、その壮絶さに息をのみます。

令和では児相どころか刑事事件案件ですが、この鎌倉~室町時代、子供の人権は家長である父親に比べて著しく低かったんですよね。助けてくれる人なんていなかったんでしょう。

出世しろ出世しろ、そして父を出世させろと、自分のことしか考えていない父親との過酷な生活にとうとう耐え切れなくなった吹雪は、父親を殺してしまいました。

 

この時代、父殺しは大罪なのでその事実は隠していたでしょうが、どのみち家柄を失った吹雪はどの大名からも無下にされます。

父の口癖を聞くうちいつの間にか自身の目標となっていた、「天下を支えたい」という欲求をかなえられないまま、吹雪はあちこちを彷徨い続けていました。

そして賊によって大人を全滅させられたあの村で、ようやく吹雪は時行と出会ったのです。

しかし、吹雪は自ら、時行から離反することになりました。

 

 

裏切り(寝返り)エピソードをご紹介

 

吹雪の明かされた壮絶な過去、そして時行との絆の再確認。普通ならこれ、郎党安泰イベントですね。

吹雪はようやく才能を生かせる場所を見つけ、あとは時行を支え、彼に天下を奪還させればいいだけでした。それで吹雪は満たされるはずでした。

しかし、登場初期から吹雪には「寒さ=どうしようもない餓え」があり、それを誤魔化すためか、食事に尋常じゃなく執着していたのです。

ただの弥子ちゃんだろ?と思っていた時代もありましたが……常に策をめぐらせて脳を使っているので、カロリーが必要なのかな?と日和見に考えたかった。

 

だけど結局は、時行では吹雪の餓えを満たすことが結局はできなかったのでしょう。現役の力士並みの食事量を、時行のそばでも欲していた吹雪は、時行の郎党から離反し、足利側につくすることになりました。

なお、この吹雪の裏切りに関しては「未来視」を持つ諏訪頼重さえも見通せなかったことだったのです。

それは吹雪が、頼重が一時的に神力を失っていた時期に加入した郎党だから……ということで、頼重はこの戦での自身の敗北を悟りました。

ここからは、吹雪の寝返りエピソードをご紹介します↓↓

 

裏切りエピソード① 暗殺のターゲット尊氏との邂逅

そもそも何故、時行のそばで居場所を見出していた吹雪が裏切ることになったのか。

それは振り返ってみれば、時行の郎党が潜伏していた京都での、尊氏を暗殺しようとしたときに端を発していたのでしょう。

京都で出会った名将・楠木正成と邂逅した時行は、棚ぼた的に「尊氏が楠木邸を訪れる日時」を知ってしまいます。

郎党らは協力して策を講じて、尊氏を、側近たちから引きはがし一人きりにすることに成功しました。

 

そして、いざ暗殺……となったとき、しかし尊氏は人間離れした動きで奇襲を防いだばかりか、時行らを神力で圧倒したのです。

そのオーラは時行の目には、まがまがしい化け物のすがたに映りますが……

一方の吹雪には、化け物の口の中でも後光を放つ仏のようにも見えました

暗殺は失敗。吹雪の裏切りの、ここが第一の布石でした。

 

裏切りエピソード② 2度目の尊氏を浴びて高師冬となる

決定打は原作第106話「父子1335」。

この回で、戦場にやってきた尊氏が、諏訪大社の当主である諏訪頼重よりもずっと強い後光を放ちます。

諏訪大社の当主と言えば、当時で言うところの「現人神」です。神たる頼重よりも強い後光を持つ尊氏に、戦場はぐっちゃぐちゃにされました。

尊氏の敵、つまり時行の味方の軍勢が一斉に、尊氏に降伏するか、尊氏のもとに下ったのです。

 

これぞまさに人知を超えた、神力のなせる業。ここで「神力勝負」、そして「戦」で尊氏に負けたと、頼重は悟ります。

このときは、一万騎ほどが尊氏に降伏したとか。

そのうちのひとりが吹雪でした。

 

尊氏の後光を浴びた瞬間から、「時行を支えて天下を奪還させる」という、やりたいことがあったはずの吹雪の脳内にはもやがかかり、前後不覚になってしまいました。

尊氏の最側近の一人・高師直はそんな吹雪の「中毒」ぶりをみて、「こうまでハマるということは、以前にも力を浴びているか、心に強い餓えがあるか」だろうと判断します。……どっちも当てはまってるよォ!

吹雪の顔を、高師直は「足利学校の中でも群を抜いた才能だった」と覚えていました。

そして吹雪の身柄を「高師冬」として、足利の為に利用することに決めたのですね。

 

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【逃げ上手の若君】吹雪の正体や過去・裏切りについてまとめ

 

以上、吹雪の過去と裏切り、そして史実から推察される未来についてでした。

まとめ
  • 吹雪はもともと足利側の人間だった
  • 時行への忠誠は嘘ではなかったが、心のどこか満たされないと感じていたのも事実
  • 尊氏の神性を二度にわたって浴びたことにより前後不覚状態になり、無意識に尊氏に惹かれ、足利側へと返り咲く
  • 高師直によって「高師冬」として生きることを決められる
  • 「高師冬」になってしまったが最後、史実では、若様とはもう会えない

 

いや、なんか吹雪、時行の経歴と自分の野望がマッチングして郎党に加わっただけだし、裏切りそうだよな……とは、思ってはいたんですよ。

でも、ウマの人との戦いの最中、時行に出自を受け入れられて絆をはぐくむ、という好感度上昇イベントをやったので、なるほどもう安心だ、と読者に胸をなでおろさせといてからの、これです。

顔を隠すための「仮面をかぶっている」というのがキーとならんか?

仮面を外すことによって「高師冬」は史実通りの場所で死に、しかし吹雪は生きのびてまた時行の元に帰ってきてくれんか……?

 

というのが、個人的な願望でもありますが、そんなストーリーラインを松井先生が描くとも思えず。。

およそ観応の擾乱への未来が確約した現在、逃げ若を読むうえで、かつて吹雪だった青年の「この先」にも注目していきたいですね!

 

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