100万ドルの五稜星のタイトルの意味は?道しるべはなぜなのか考察

公開日: 2024年6月15日 | 最終更新日: 2024年6月15日

 

「劇場版 名探偵コナン」は1996年以降、1年に1回ペースで公開されています(2020年のみコロナのため延期)。

2024年には【名探偵コナン 100万ドルの五稜星みちしるべ】が公開され、これはシリーズ累計27作目となります。

しかし「五稜星」と書いて「みちしるべ」は、初見では読めないは思いませんか……?

どうしてこんなタイトルにしたんだろう?

今回はそんな「100万ドルの五稜星」のタイトルの意味について考えてみました!

この記事を見て分かること
  • 歴代「劇場版名探偵コナン」タイトル
  • 北海道における「みちしるべ」
  • 「100万ドルの五稜星」に込められた意味

 

 

 

 

タイトルは「宝探し」を意味する

 

タイトルの意味を考えるにあたって、2024年までに公開された歴代「劇場版コナン」のタイトルをまとめました↓↓

劇場版「名探偵コナン」サブタイトル一覧
  1. 時計じかけの摩天楼
  2. 14番目の標的 (ターゲット)
  3. 世紀末の魔術師
  4. 瞳の中の暗殺者
  5. 天国へのカウントダウン
  6. ベイカー街の亡霊
  7. 迷宮の十字路 (クロスロード)
  8. 銀翼の奇術師 (マジシャン)
  9. 水平線上の陰謀 (ストラテジー)
  10. 探偵たちの鎮魂歌 (レクイエム)
  11. 紺碧の棺 (ジョリー・ロジャー)
  12. 戦慄の楽譜 (フルスコア)
  13. 漆黒の追跡者 (チェイサー)
  14. 天空の難破船 (ロスト・シップ)
  15. 沈黙の15分 (クォーター)
  16. 11人目のストライカー
  17. 絶海の探偵 (プライベート・アイ)
  18. ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE
  19. 異次元の狙撃手 (スナイパー)
  20. 業火の向日葵
  21. 純黒の悪夢 (ナイトメア)
  22. から紅の恋歌 (ラブレター)
  23. ゼロの執行人
  24. 紺青の拳 (フィスト)
  25. 緋色の弾丸
  26. ハロウィンの花嫁
  27. 黒鉄の魚影 (サブマリン)
  28. 100万ドルの五稜星(みちしるべ)

 

このように、「名探偵コナン ○○の××」という並びが定まっています。

※ルパンとのコラボ作品である「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」を除く

 

「××」には、英語のフリガナが振られることが多いですね。

アニ木
アニ木
「14番目の標的 (ターゲット)」や「純黒の悪夢 (ナイトメア)」なんかはそのまま英訳という感じだけど、「から紅の恋歌 (ラブレター)」や「黒鉄の魚影 (サブマリン)」はちょっとひねりが効いてるね

 

そんな中、××のフリガナ部分が英語ではないのは27作目にして初!

「名探偵コナン」に怪盗キッド以外の「まじっく快斗」や「YAIBA」キャラも集まったぞ!という特別感がありますね。

 

しかし、「100万ドルの五稜星」の公式英訳は「The Million-dollar Pentagram」

アニ木
アニ木
……あれ、「みちしるべ」要素は……? 

 

そう、「100万ドルの五稜星みちしるべ」は、ひねりが効いているなんてレベルじゃない、すごいフリガナなんです!

わざわざ「五稜星」に「みちしるべ」というフリガナを当てた理由とは。

それは、今作が「宝探し」を示唆しているからだと考察します!

この考察について、タイトルから1つずつ見ていきましょう↓↓

 

考察① 100万ドル

「100万ドルの五稜星みちしるべ」の意味は「宝探し」である、という説明をする前に、一度タイトルを分割し、それぞれの要素を調べてみます

まずは「100万ドル」について

これまでサブタイトルに数字が入るのは、下記3作品だけでした。

  • 14番目の標的 (ターゲット)
  • 沈黙の15分 (クォーター)
  • 11人目のストライカー

 

11とか14とか言ってる中でいきなり「100万」をぶっこんでくるのおもしろいですね。

 

さて、本作は「平次が和葉に告白するための映えスポット探し」も重大なテーマ(?)。

なのでこの100万ドルは素直に「100万ドルの夜景」が見えるスポット・函館を指している、ということでいいでしょう。

実はこの「100万ドルの夜景」の由来、兵庫県神戸は六甲山にあるそうです。

六甲山という山から見える神戸市内の夜景。

その電気代をドルに換算するとおよそ100万ドルだったことから、煌びやかな夜景を“100万ドルの夜景”と呼ぶようになりました。

 

この100万ドルという響きがウケて、函館など、神戸以外でも美しい夜景に対して使われるようになったのだとか。

確かに絶好の告白スポットでした。

これもう絶対にうまくいくやろと、一観客としては思ったんですよ、本当に。。。。笑

 

 

考察② 五稜星

続いて、「五稜星」についての解説です。

この五稜星という単語、耳なじみがないと思いませんか??

最初、変換が大変だった……

 

北海道・札幌の方にはなじみのある言葉らしいのですが、以南の人間には「五稜郭」や「五芒星」のことかと思えます。

多分このサブタイトルをつけたひとも、「五稜星」という言葉を使うときに、五稜郭と五芒星のことを意識したのではないでしょうか。

  • 五稜郭……「5つの”稜堡(外に向かって突き出した角)”を持つ要塞」のこと。
  • 五芒星……「5つの角を持つ星型多角形」のこと。

 

五稜郭は言うまでもなく、本作の重要な要素の一つである「土方歳三」にちなんだ場所。

「100万ドル」で函館の夜景を意識させたあと、「五稜星」とくればああ五稜郭のことね、とすんなり思いますよね。

アニ木
アニ木
でも、じゃあ素直に「100万ドルの五稜郭」でよかったんじゃない?

 

ところが、本作のタイトルは「100万ドルの五稜郭」ではなく、「100万ドルの五稜星」。

ここでの五稜星とは、「五稜郭+五芒星」を指すと仮定して考えると。

五稜郭以外の五芒星要素がある、ということ。

 

そう実は、五芒星は旧日本陸軍の制帽や徽章に使われていたマークでもあります。

真犯人の目的である「お宝」は、旧日本陸軍にちなんだものでした。

つまり「五稜星」とは、五稜郭と旧日本軍という本作の重要なファクターをダブルミーニングしている、すさまじい単語なのだと言えるのですね。

 

しかし、札幌の人からすると「五稜星」という言葉そのものを本作公開前からご存じの方も多いのではないでしょうか?

五稜星とは、「札幌市内にある赤い星のマーク」を指すものだと。

それを踏まえ、次項で「五稜星=みちしるべ」である理由を書いていきます。

 

考察③ 読み方が「みちしるべ」の意味

続いて、「100万ドルの五稜星」の読み方が「みちしるべ」である意味を考察します。

歴代サブタイトルでいうと、「紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)」並にひねられたフリガナ。

アニ木
アニ木
「海賊旗」を意味するジョリー・ロジャーがなんで「棺」なのかは映画をチェック!

 

しかし「五稜星」とは、札幌市民にはなじみのある言葉らしいのです。

何故か?

「五稜星とは開拓使のシンボルで、開拓使に関係する建物についてる赤い星」だから、だそう。

 

開拓使?と首を傾げた方のため、ここでちょっと北海道の歴史を。

  • 北海道は長らく蝦夷地と呼ばれた未開の地

→函館戦争後の明治2年、新政府は蝦夷地を北海道と改名

→北海道の本格的な開拓のため、開拓使を設ける

 

そして北海道開拓使は活動中、青地に赤い五芒星を描いた旗、「北辰旗を用いました。

海賊旗ジョリー・ロジャー同様、未開拓の場に向かう人間は旗を掲げるものなのですね。

 

そして、この北辰というのは、北極星のこと。

ほぼ真北にあって動かない北極星は、目印のない航海において絶対的なみちしるべとなってました。

明治のはじめ、大海原で船をあやつる彼らの道しるべとなったのは、北の夜空で不動に光る北極星だった。末次郎はそれをシンボルとしたのである。

それはまた、北海道をめざして、大いなる希望と不安を抱いてやってきた人々の思いと重なり合い、北海道開拓そのもののシンボルとなった。

「北辰」は、漢字を書き変えると「北進」。

北へと進む人々の心に、文字どおり希望の星として心強く輝いたにちがいない。

(佐江衆一『北海道人 松浦武四郎』より引用)

 

”末次郎はそれをシンボルとしたのである……”

……この一文は、その北辰旗のデザインに携わった「蛭子末次郎」のこと。

なんと蛭子末次郎は、五稜郭を設計した武田斐三郎の門下生、というつながりがあるそうです。

 

つまり五稜星とは、「五稜郭≒北海道開拓=北辰旗=北極星=みちしるべ」。

五稜星、みちしるべじゃん……!

本州在住のライターは、最初は「初見で読めるか!」とツッコみましたが、作品を観た今ではもう、これ以上ないってくらいのネーミングだと思います。

 

 

考察④ 英語読みとのダブルミーニング

 

「100万ドルの五稜星」の公式英訳は「The Million-dollar Pentagram」。

だから普通なら、五稜星と書いて「ペンタグラム」と読ませるサブタイトルだったのかもしれません。

100万ドルのペンタグラム。

おお……コナン映画っぽい響き。笑

 

コナン映画がよく「○○の××」の××部分を英語読みさせるのは、おそらく理由があって、

英語だと、ダブルミーニングを仕込みやすいからだと思うんですよね。

 

例えば、

漆黒の追跡者(チェイサー)のチェイサーでは、

①追跡者のほかにも、②お酒の合間に飲むもの→酒(アイリッシュ)の存在を強調するという意味があったと思います。

 

黒鉄の魚影(サブマリン)のサブマリンは、

①潜水艦②サブマリノという酒のもじり→「黒の組織」登場回の強調というダブルミーニングが考えられます。

 

しかし今回は、従来の流れに逆らって、日本語で「みちしるべ」。

その理由は、日本語でダブルミーニングが成立したからではないでしょうか。

みちしるべとは
  1. 道の方向や距離などを示す標識。道案内。どうひょう。
  2. 物事の順序を教えて手引きの役をすること。また、その人や、そのもの。「人生の—」

(デジタル大辞泉より引用)

という意味があります。

 

この①は、五稜星こと「北辰旗」であり、北極星のこと。あるいは函館のシンボルである五稜郭のことでしょう。

そして②は、「100万ドルの五稜星」が公式X(旧Twitter)でティザー公開された際に添えられた一文、「意志を継ぐ者がいる」を指しているのではないでしょうか。

 

今回の作品で登場した、怪盗キッド

そして、真犯人とその後継者

我々が知る怪盗キッドは「まじっく快斗」を見ればわかるように、実は2代目。

 

黒羽快斗は、父親の役目を継いでいます。

真犯人も老体ながら、「お宝=兵器を破壊する」という意思を後継者に託しています。

その結果が映画のラストなわけですが。。。

 

このように、「意志を継ぐもの」というのは、「100万ドルの五稜星」のメインテーマと言えます

北海道開拓のシンボル・北辰旗(=北極星)という「みちしるべ」。

父親という人生の「みちしるべ」。

このダブルミーニングを示すのに、「みちしるべ」以上のフリガナはないのです。

 

考察⑤ 宝探しだよという提示

考察④で「みちしるべ」はダブルミーニングだと言いましたが、訂正します

トリプルミーニングです。

本作を語るうえで「北海道のシンボル」や「意志を継ぐ者がいる」は間違いなくメインテーマですが、そもそも。

本作を観た方にはもうあえて言うまでもないことですが、映画の内容がもうお宝さがしじゃないですか。

 
真実おたから”を奪い合え――

天下分け目のお宝争奪戦バトルミステリー、ついに開幕ー!

 

 

天下分け目のお宝争奪戦バトルミステリーです。

公式がそう言ってるんです、「お宝」探し及び争奪戦であることは、「100万ドルの五稜星」にとってメインテーマどころか代名詞です。

「旧日本軍が開発したという”お宝”」のみちしるべである刀を奪い合い、斬り合い、気球にも乗りました。

東窪榮龍がつくった6本の刀や、星稜刀こそが”お宝”までの「みちしるべ」。

つまり視聴者に対して、「今回のコナンはお宝探しの話だよ!」と端的に伝えるサブタイトルとなっているわけですね。

 

 

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【名探偵コナン 100万ドルの五稜星】タイトルの意味や読み方まとめ

 

まとめ
  • 「みちしるべ」はトリプルミーニング
  • 五稜星には確かに「みちしるべ」の意味がある
  • サブタイトルで日本語のルビはシリーズ27作品目にして初
  • 宝探しがテーマの本作にふさわしいタイトル

 

「100万ドルの五稜星」は、青山バースの真骨頂という感じでしたね。

普段「コナン」しか観ていない視聴者にも優しく、そして青山作品ファンであればあるほど楽める作品になっていました。

ちなみに「北辰旗」こと「赤い星」は、札幌市内であちこち見ることができるそうです。

聖地巡礼として北海道を訪れてみるのもいかがでしょうか♪

 

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