映画【火花】の原作者・又吉直樹さんは自分が書いた小説になぜこのタイトルを選んだのでしょう?
ずばり、某CMで彼は言っています。
「理由は1つじゃない」
”太宰治好き”で知られる又吉さんの事だから、思考回路はかなり哲学的で複雑そうです。
その彼の考えを解き明かそうなんてちょっと無謀ですよね。
しかし、気になるので自分なりの考察でまとめてみました!
まぁ、この記事に書いているのは「○○かもしれない」というような個人的な意見なので、そーゆー受け止め方があるんだな…くらいに広い心で参考程度に受け止めて頂けると助かります^ ^
それでは、いってみましょう↓↓
- 火花というタイトル「由来」や「意味」
- コンビ名「スパークス」との関連性
- 「花火」のシーンについて
目次
火花の名前の意味や由来は?
原作読まずドラマ観てる人。比較してしまうけどドラマ、映画それぞれの良さある。映画は、芸人書いて芸人が撮って芸人が演じるからこそのリアル。お笑いの世界の厳しさ、楽しさ、儚さ、火花のタイトルそのもの。そしてやっぱりラストライヴのシーンは泣ける。最高でした。#映画火花感想 pic.twitter.com/yH1JXCG0md
— 零 (@luvozi) November 29, 2017
映画の中では、何度も”花火”という言葉が使われ、夜空を舞う映像が度々流れます。
なので、読者は嫌でも花火を意識させられる構成になっています。
「じゃあいっそのことタイトル”花火”でええやん。」「花火と火花なんてまどろっこしいわ!」と、神谷なら関西弁で突っ込むでしょう。
でも、そこが又吉さんの細かいこだわりなんですね。
タイトルの由来は「一瞬光っては消えていく」というニュアンスでしょう。
変化の激しいお笑いの世界で生きる芸人と似ていることから、火花となったと思われます。
この言葉をチョイスした意味として、毎日を気楽に生きているように見られがちな芸人が、実は印象とは全く違う世界で切磋琢磨して戦っているということを伝えたかったのではないでしょうか?
以下では、さらに深堀りしていきます↓↓
名前の実際の意味は「瞬間的に出る火の粉」
日頃から、自分たちの漫才で会場に笑いの渦を巻き起こす事をめざしている芸人達。
おそらく、彼らのエネルギーはものすごく強烈だと思うんですよね。
舞台ではそんな連中が集まって、ライバル意識を燃やして全力で漫才をぶつけ合うわけです。
もう閃光烈火がバチバチですよ。
そして「火花」とは固い物同士がぶつかり合って、瞬間的に発する火の粉の事です。
観客が腹を抱えて笑っている前で、芸人達は身を削るような真剣勝負を繰り広げ、フルパワーでショート寸前の緊張感の中で戦っています。
舞台の上で実際に彼らは全身ビリビリと電流が走る思い
なのかもしれませんね。
名前の由来は「芸人の生き様」が火花に似ているから
火花が無数に集められて、夜空に舞う鮮やかな花火となります。
綺麗にキラキラと輝きながら、落ちて消えて行く無数の火花。
大勢の観客を期待させる賑やかな舞台は、どこかこの大輪の花火に似ています。
舞台の上での爆発的なエネルギーにより、会場がどよめき観客と芸人が1つになる臨場感。
勝者と敗者、歓喜する者、泣き崩れる者。
そこに立った者にしか見えない始まりと終わりがあり、己のすべてを賭ける芸人たちの姿はまさに”火花”と言えるのではないでしょうか?
コンビ名スパークスの意味も「一瞬生じる電気」のこと
世の中の常識を覆す漫才を目指して成立された、徳永と山下のコンビ「スパークス 」。
なかなか響きがよくて、カッコイイ名前です。
常識を覆す新しい漫才を生み出すためには、名前からインパクトがある方が良いに決まっています。
このイメージとしては「閃き」「感電」「衝撃」「鋭い感
性」「気迫」「旋律が走る」みたいな感覚でしょうか?
放電時に火花が飛び散ることを「スパークする」なんて表現しますがそんなイメージです。
まさしく、物語の中では彼ら自身も「一瞬だけ輝くも長続きせず、やがては消えていく火花なんだ」という事をコンビ名が強調しています。
又吉さんは、そんなスパークスの2人に物語の進行役を背負わせている訳です。
「高く打ちあがる花火=成功」という意味合いで描写されていた
映画「火花」の始まりは、静かに時を刻む時計の音をバックに暗い夜空を競う様に、空に向かって立ちのぼる2つの花火の映像が流れます。
それに重ねるように、徳永と山下の会話が聞こえてきます。
「なぁ、2人で漫才せへん?お前とやったら、むっちゃおもろい漫才ができると思うのや。」
「天下とって、フェラ―リ買いたいねん。」
かつて、2人が一緒に夢を追いかける事を誓った夜の記憶なのでしょう。
花火を見ながら、無邪気に成功を思い描いている様子が伺えます。
天高く昇っては消えていく花火を見て、人それぞれ思う事は違います。
ただ、この時の徳永と山下は「打ち上がる花火=成功」ととらえて、綺麗なイメージとダブらせていたのでしょう。
売れない芸人が一瞬だけ輝き消えていく意味だと考察
ここでちょっと映画と離れますが、又吉さんはお笑いコンビ・ピースとして活躍する前に、中学生時代の同級生と〈線香花火〉というコンビを結成していました。
(相方が夢を諦めてしまい解散となります。)
大小はありますが、ここでも花火が登場しています。
線香花火って、チカチカと火花が散るだけですぐに消えてしまいますよね。
考えてみると大きな音をとどろかせて夜空に咲き乱れる「花火」とは対照的です。
ひっそりと小さな火花を散らしながら、少ししたらポトリと落ちてしまいます。
ただ、一瞬だけ輝く花火よりは線香花火の方が持続的であり、息を潜めて見入ってしまう美しさがあります。
お笑い芸人を志す以前から、彼の目は時代にブームを巻き起こす芸人とは別に、少しだけ光って人知れず消えて行く売れない芸人の方に注がれていたのかもしれません。
この頃から、又吉さんの頭の中では売れない芸人と火花が結びついていて「いつか何らかの形でそのことを表現したい」と頭の片隅で意識していたのではと思ってしまいます。
【火花】タイトルの意味や由来の考察まとめ
映画、火花観た。とても繊細な所を色んなアプローチで。感動しました。今も昔にも感謝です。色んな人の顔が思い浮かびました。素敵な言葉がたくさん!染みる熱い作品でした! pic.twitter.com/j7HZ7i3nut
— シルキーライン服部 (@tabacoponzman) December 26, 2017
- 名まえの意味や由来は1つじゃない
- 芸人の世界は常に火花が飛び散っている
- 花火は沢山の火花が炸裂して生まれる
- 〈スパークス〉も芸人が火花である事を強調している
- 又吉さんは芸人になる前から〈火花〉を意識していた
- おもろい漫才とは共同作業みたいなものだ
- 1度でも舞台に立った芸人は絶対に必要だった
以上、今回は火花の名前の意味や由来をさまざまな角度から考察してみました。
まさしく理由は1つじゃなくて、いろんな角度から考える程に味わい深い作品だと思いました。
書き進む途中で、何度か同じシーンの確認作業をしましたが、見る度に新しい感動が見つかり、さらに火花が好きになります。
まだ見ていない方には、ぜひおススメしたい映画です^ ^