韓国映画【パラサイト半地下の家族】は、ポンジュノ監督の傑作ムービーです!
キム家の4人は父・ギテクの事業の失敗をきっかけに、狭くて薄暗くて小汚い半地下で生活していました
友人のミニョクからの紹介で家庭教師を始め、その家に寄生する計画を立てた息子・ギウ。
見事その作戦が成功し、定職についていなかった一家は全員パク家で勤めるようになりました。
作中では、終始ギウの言動に疑問が浮かびます。
それは、実の父親であるにも関わらず、彼に対してずっと敬語で接していることです。
計画的で頭の回転が早いギウに反して、無計画なギテクはあまり威厳のある父親ではありません。
それでもギウがギテクに敬語を使う理由はどうしてでしょうか?
今回は、映画【パラサイト半地下の家族】について、韓国ならではの家族関係を軸に考えていきましょう!
- ギウだけが敬語を使う理由
- 韓国の教え「儒教」について
目次
息子ギウが父ギテクに敬語を使う理由は?
なんか既視感あると思ったらパラサイトじゃんwwww RT pic.twitter.com/1pRXbRa5qN
— たりほ (@bigtawawa) August 11, 2020
冒頭で、ギウがギテクに敬語を使う理由について触れました。
逆に、日本では両親に対して敬語で話すことはありませんよね?
ですが、ギウは父親に終始敬語で話していました!
以下、その理由についてお話していきます!
ギウだけはギテクに敬語を使用し母と娘はタメ口のまま
ギウは、父・ギテクに敬語で話しているのに対し、母・チュンスクと姉・ギジョンは構わずタメ口で話をしています。
何がこのような違いを生み出しているのでしょうか?
ここだけを見れば、性別が男ということだけ共通点がありますよね。
実は、これには「たとえ実の親であってもいつでも敬意を払う」という韓国ならではの文化が関係していました!
「尊敬」の意味が込められた態度ということも、考えられますね!
敬語を使うほど偉大な父親という素振りは無い
上記でも、父親・ギテクを尊敬しすぎるあまり、ギウは日常的に敬語を使っているという可能性があがりました!
「敬語を使う相手=偉大な存在」に思いますよね?
ですが、実はギテクにはそのような威厳はないのです。(失礼ですが・・)
その様子が分かるエピソードもあります↓↓
- ピザの箱の組み立ては、ギテクだけが不器用で下手だった
→ギテクのものだけ「不良品」と言われ、評価されない
- 寄生作戦の計画を一家に説明した際、ギテクにのみセリフが用意
→「頼りない」「アドリブがきかない」と家族から思われていることを示唆
- 昔、ギテクが営んでいた台湾カステラの屋台が失敗
→これはノンフィクションの「実話」で、数年前に韓国で大流行したスイーツ(各地に新店がオープンし、どこも大行列になるほど)
→衛生上の問題や安全性等について様々なデマ報道があり、すぐさま流行は去る
→ここから「台湾カステラ店の元オーナー=失業者」と認識されるようになる
=韓国の時代にマッチするような内容をギテクに重ねた
余談ですが、韓国では給料の良い企業に就職できるのはごく一部の人のみです。
日本と違って、自営業で外食産業に参入し、一攫千金を狙って脱サラの道を選ぶことも珍しくありません!
その際、借金や全財産をつぎ込み店を構えることも多く、失敗して一文無しになるということもあるあるなんだとか。。
ギテクもその波に乗って台湾カステラの屋台を始めましたが、ブームが去るとともに廃業に追い込まれた内の1人なのでしょう。
そうして事業の失敗をきっかけに、一家全員が半地下に住むことになりました。
父親の廃業により半地下での不便な生活を余儀なくされ、金銭的余裕が全くないという暮らしぶりのキム一家。
それが理由で、才能あるギジョンやギウなどの子どもたちも進学すらできません。
そういった状況下の中、正直尊敬できるところはありませんよね(*_*)
しかし、それでも父親に対して敬語を使う理由は、韓国の文化にありました↓↓
韓国の家族関係から解説
韓国には「儒教」の精神が古くから根付いています。
宗教というわけではなく、「考え方」というイメージで問題ないです。
これは、古代中国・春秋時代に「諸子百家」の1人・孔子が説いた「年長者に敬意を払う」という教えです。
日本の「年功序列」とは少し違った、儒教という文化について理解を深めていきましょう!
韓国では年功者に経緯を示す「儒教」という文化がある
「韓国=儒教の国」という人もいるほど、韓国と儒教は切っても切り離せないもの。
年長者を最大の師とし、究極の年功序列社会である韓国。
社会的地位の高い人、お年寄りを敬うことを大切にしています!
日本でもそういった文化はありますが、韓国ではそれ以上に目上の人に対するルールやマナーが厳しいそうです。
1歳でも年齢が上であれば「先輩」として敬意を払い、敬語で話すのが当然。
逆に、1歳でも下であれば「後輩」として、上から目線で対応することも当たり前なのだとか。
そのため、初対面であってもまず年齢を確認するそうです。
それだけ、「年齢」というものは上下関係を定める重要な要素なんですね!
日本ではいきなり年齢を伺うことはあまりしませんし、欧米では年齢によって上下関係は決定しないので相手に直接聞くことはまずありません。
国によって、様々な文化や考え方の違いを感じますね(^^)
家族でも親であれば「敬語を使うのが当然」という関係性だった
先ほど、儒教の話で「目上の人には敬意を払い続ける」という韓国の文化についてお話しました。
実は、この「目上の人=父親」には、「父親=家族で1番偉い」という公式が当てはまります!
親に敬意を払わないという感覚が信じられないというぐらい、礼儀を重んじています。
その親孝行に対する考え方も、儒教の精神が深く根付いているそうです。
ちなみに、「なぜ息子だけ?」という疑問にも納得の答えがありました!
息子はいずれ「家を守る存在=家族で1番偉い存在になる」、娘はいずれ「嫁に行く=そこまで厳しくしない」という考え方があったからでした!
日本でも親孝行はもちろん大切ですが、親に敬語を使う家庭は珍しいですよね!
そういった韓国の独自の文化について知ってから映画を観ると、より一層理解が深まりそうですね^ ^
【パラサイト半地下の家族】ギウについてまとめ
アシュラの初期ソンモやパラサイトのギウみたいな髪型が好きなんだけどこの髪型をどう表現していいのか分からない……前髪の中心だけ伸びていて無造作な感じ! pic.twitter.com/MQYqUrVEyV
— 岡田 (@dadadaoka) March 24, 2020
- 半地下に住むキム家の長男・ギウは父親・ギテクにずっと敬語だった
- 頭は良いが、父親の事業失敗による経済的な理由から、進学できずにいた
- ギウの計画により見事、パク家への寄生作戦を成功へと導いた
- 計画的なギウに対して、無計画でうだつの上がらない父親・ギテク
- そんな父親にも敬語で話す理由は、儒教の国であるという地域性からだった
- 儒教は「目上の人には敬意を払う」「父親=家族で1番偉い」という考え方があった
儒教の国、韓国では年上の方を敬うことが鉄則だそうです。
それが家族であっても敬語を使うのは珍しい事ではないらしく、日本との文化の違いを感じますね!
作中でもその儒教の精神を重んじた上で、ギテクとギウの関係性を描いているようですね!