『鬼人幻燈抄』は、なろう小説が原点であり小説化や漫画化、アニメ化と次々にメディア展開されて注目を浴びている作品です。
物語冒頭は、主人公の甚太とその妹である鈴音の2人が、江戸を離れ葛野で巫女を守護している男性に拾われるところからはじまります。
そこで、巫女の娘である白雪と出会い、家族も同然の仲になっていきます。
歳を重ねると白雪は巫女となり、甚太は巫女守として鬼斬の役目を担うこととなりました。
しかし対して鈴音は身体が全く成長しなくなり、また赤い目をもっていたことから鬼であることが周囲に明らかになっていきます。
そんな展開の中で、鈴音が鬼化してしまう発端となる事件が勃発しますが、それは一体の鬼女が原因でした。
江戸時代から平成まで長く続いていく甚太と鈴音の物語の始まりとなる事件を誘った鬼女は、一体何者なのでしょうか。
今回はこの鬼女の正体について解説していきます!
目次
鬼女の正体は何者?
鬼人幻燈抄 明治編夏宵蜃気楼/中西モトオ
時は明治、京都に現れた百鬼夜行の噂には鎖を操る鬼女の影があった
共に5年同じ鬼を追っていた兼臣から語られる過去の因縁。自分は刀だと言ったその真の意味とは
ギクシャクしてしまった野茉莉との関係。それでも確かに紡いだ絆
また新たな噂が京に流れる pic.twitter.com/DLlp3sNB8G— しゅんた🐏 (@1994s365soba) February 21, 2021
鬼女は、鈴音を鬼化させようと企んでいました。
そこで利用したのが、兄の甚太に対する鈴音の好意だったのです。
鈴音は甚太のことを一人の異性として愛していましたが、白雪に好意を持っている甚太の幸せを一番に望み自分の想いをひた隠しにしていました。
しかし、鬼女によって白雪は別の男性と幸せになることを決断。
鈴音は、そんな白雪の事を恨み鬼化して白雪を殺害してしまうのです。
この事件がきっかけとなり甚太と鈴音の兄妹の長い時を経る悲劇が幕を開けていきます。
鈴音が鬼であったことを知っており、鬼化を謀った鬼女は一体どのような鬼なのでしょうか。
正体① 金髪で豊満な体つきの女
まず見た目でいえば、金髪で豊満な体つきをした15、16歳くらいの女性の姿をしています。
その女性らしい体格に反し、童女のような人懐っこい笑顔が愛らしい鬼です。
鬼女は人間に対して、”敵”と思っていないようで、常に美しい顔で微笑み敵意は全く感じられません。
正体② 遠見の能力を所持
鬼は能力を持っていることがありますが、鬼女は遠見の能力を持っています。
この力は、未来の出来事を予知することができるというものです。
鬼女はこの遠見の能力を使い、日本が海外の文明を取り入れて発展途上国になることや、電気という作り物の光を発明し夜でも明るく生活できるようになる、といった予言をしていました。
この予言は、人間にとっては暮らしが豊かになる良い事ですが、鬼にとっては文明の進化のせいで、夜間活動が制限されるようになると同然です。
急速な時代の速さに鬼達は置き去りにされ、行き場を失い、存在を認知されなくなり、子孫を残すことができず絶滅の危機にあります。
鬼女の予言により、鬼達が御伽話のような存在へと移り変わっていくのではないかと恐れられていたのです。
正体③ 鬼の未来を守るために暗躍
鬼女が鈴音の鬼化を狙った最大の目的は、鬼の未来を守るためでした。
鬼女が予言の力でみた未来では、鬼達は滅ぼされてしまいます。
しかし、別の予言では170年後に鈴音が鬼神となり、鬼達の未来を救うため全ての人類を滅ぼす災厄になる未来をみていました。
この予言により鬼女は、鬼達の未来を救うために何としてでも鈴音を鬼化させる必要がありました。
そこで白雪を殺害させることで甚太との仲を決別させ、未来での鈴音を鬼の味方に仕立てたというわけです。
その後に甚太も、鬼にされてしまうのですが、不死の身体を手に入れ長い時を越えて鈴音の所まで辿り着く、と鬼女は語ります。
こうして鬼女は鬼の未来を守るために事件を意図的に起こしたのでした。
正体④ 元は人間であり花魁
鬼女の目的は鬼達の未来を守るためでしたが、実は、鬼女はもともと人間でした。
1854年の春、江戸にいた甚太の元に一つの噂が入ってきます。
それは夜桜の下に捨てられた遊女が鬼となり、夜叉になって現れるようになった、という噂です。
その遊女とは遊廓の花魁で、ある男性と恋に落ちます。
しかし梅毒にかかったことで髪は抜け痛みに苦しみ、頭も正常ではいられなくなったことから、男性にも逃げられてしまいます。
そしてその遊女は男性に対して恨みを持ったまま夜桜の下で死んでいき、”男”という存在に恨みを持った鬼女になってしまったのです。
甚太は、この鬼女を討伐するよう依頼を受けていました。
甚太と出会った当初は、正気でなく名前を語ることもできない哀れな姿で、甚太の手によって殺されました。
正体⑤ 最期は鬼化した甚太に殺される
鬼女の最期は、鬼化した甚太に殺されてしまいます。
鬼の弱点は、首を落とすか心の臓を穿つことです。
鈴音の味方をしていた鬼女は、鈴音を護衛にして甚太と応戦します。
しかし甚太は、戦いの中で古の鬼から「同化」という力を譲り受けるために鬼を喰らい異形の腕を手にします。
「剛力」という腕の力の正体は、甚太の人間の腕から一変、左腕が隆起して筋肉が躍動するほどとんでもない剛腕を手に入れるというものでした。
甚太は、この力で鈴音の頭部を砕くつもりでしたが、鬼女が咄嗟に鈴音を庇い心臓を貫かれてしまいます。
はじめは白雪の事件のことで怒り狂っていた甚太ですが、鬼女が鈴音を命懸けで守る行動をしていることに気が付きます。
そこで鬼達は自分達の欲望ではなく、信念のために行動しているということを悟り、人間も鬼も根っこの部分は変わらないのではないかと思い耽ました。
致命傷を食らった鬼女は、最後に「あたしは満足。同朋の未来を守れた。」と遺言を残して、鬼女の死骸は溶けて消えていくのでした。
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鬼人幻燈抄っていう小説本当にいいから是非とも読んでほしい。
江戸から平成までを生きる鬼人の生涯を書いた出会いと別れの話。なろうで連載されてて完結してるんだけど、最近一般文芸として出版されてる。
なろうの方読み進めてるけど、今まで人生で読んできた小説の中で一番かもしれない。 pic.twitter.com/OoDDKMGCIh
— じーなか (@shun1595) May 7, 2020
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【鬼人幻燈抄】鬼女の正体についてまとめ
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今回の記事では、『鬼人幻燈抄』の鬼女の正体について解説してきました。
- 正体①金髪で豊満な体つきの女
- 正体②遠目の能力を所持
- 正体③鬼の未来を守るために暗躍
- 正体④元は人間であり花魁
- 正体⑤最期は鬼化した甚太に殺される
重要な役回りではありますが、正体は不明な部分が多い印象が残るまま死んでしまいました。
鬼女の暗躍はやり方こそ悪いものでしたが、その根底には鬼達を守りたいという強い想いがあったことが分かり何とも切ない気持ちになってしまいます。
甚太の心情変化を考えてみても、鬼が完全な”悪”として描かれていない点は、この作品の特徴の一つであると言えそうです。
原作小説は完結していますが、今後アニメ化が決定しており鬼女も登場してくるはずです!
鬼女の出番を心待ちにしています。
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