【ジョーカー】なぜ母を殺した?過去の養子や虐待の記憶から解説

公開日: 2020年9月22日 | 最終更新日: 2020年9月22日

 

映画【JOKER】に登場するアーサーは、みすぼらしいアパートで母親と2人暮らしをします。

母・ペニーは高齢なので、介護が必要でした。

ペニーは全て息子に頼るしかなく、アーサーもまた母の前では笑顔で明るく過ごすように心がけます。

年齢関係なく、お互いを思いやる親子愛を感じることができるシーンです。

 

しかし、いきなりその状況に変化が訪れます。

なんと、アーサーが母・ペニーを殺したのです!

なぜ、最愛の母親を手にかける必要があったのでしょうか?

 

今回は、【ジョーカー】のアーサーについてお話します↓↓

★この記事を見ることで、アーサーが母・ペニーを殺した理由が分かります!

 

 

 

【ジョーカー】なぜ母を殺した?

 

アーサーは、老いた母親を大切にいたわっていました。

彼は道化師の仕事をしていましたが、収入は僅かで親子2人分の食費にも事欠く生活です。

貧困を極めましたが、2人は幸せでした。

 

夜に放送されるTVのトークショーを楽しみにしていて、一緒に笑いながらささやかな幸福に浸ります。

貧しく孤独だったアーサーにとって、ペニーはたった1人の肉親で、彼の唯一の理解者でした。

まさに、アーサーの人生の光と言える存在で、辛い仕事も母親がいるからこそ耐えることができます。

 

そんな幸せなアーサーですが、1つだけ悩みを抱えていました。

それは、自分ではどうすることもできない「笑いが止まらなくなる」という疾患です。

この結末によって、幸せな時間が崩壊していきます。

以下、解説します↓↓

 

アーサーは母親から笑ってしまう発作は病気だと言われていた

幼い頃からアーサーは、気持ちが動揺すると「笑いが止まらなくなる癖」がありました。

周囲の人間は、そんなアーサーを気味悪がり拒絶したり攻撃します。

 

母・ペニーは、アーサーを苦しめる原因は「病気のせいだ」と言いました。

ペニーは息子が悩む姿を身近で見てきたにも関わらず、「笑顔で人々を楽しませなさい」と言い聞かせ、彼を”ハッピー”と呼びます。

母親らしからぬセリフに、違和感を覚えました。

病気の症状を、逆にプラスに変えるという視点は悪くありません。

しかし、息子が悩んでいる以上、助けてあげるべき存在だったはずです。

 

ペニー自身も軽い認知症わずらっていましたが、それが原因ではありません。

彼女とアーサーのやりとりは、今に始まったことではないです。

アーサーの疾患は、本当に生まれつきの病気によるものなのでしょうか?

この母子関係について、もう少し探堀りします↓↓

 

 

アーサーは実母だと思っていたペニーの養子だった

ペニーは、ある人物に頻繁に手紙を書いていました。

その人物こそ、まだアーサーが生まれる前にペニーが家政婦として働いていたころの雇用主・トーマス・ウェインです。

※後のバットマンことブルース・ウェインの父親

 

手紙には、アーサーはトーマスの息子だと書かれていました。

そして、アーサーはこの手紙をこっそり読んでしまいます。

彼はトーマスの元へ行き、ペニーの息子だと名乗り出ます。

トーマスも、ペニーの事をしっかりと憶えていました。

 

しかし、トーマスから驚くべき事実を聞かされます。

ペニーは過去に精神障害で入院していたことがあり、手紙の内容も全て彼女の妄想だと言うこと。

さらに、ショッキングな内容はそれだけにとどまらず、アーサーとペニーが本当の親子ではなく「養子」だということが判明します!

 

アーサーは、本当の父親に会える期待を抱き、一筋の希望を感じていました。

しかし逆に、絶望の淵へと追いやられます。

さすがのアーサーも全てを信じることができなかったため、教えられた精神病院に向かい事実を確認します。

そこで、さらなる追い打ちが待っていました。

 

過去にペニーの恋人だった男にアーサーは虐待されていた

精神病院の受付で、アーサーはペニーの記録を探してもらいます。

そこには、確かに「名前のない遺児を引き取った」という養子縁組の書類が保管されていました。

それに加え、ペニーが「子供の健康を危険にさらした罪」で有罪判決を受けていることが分かったのです!

 

記録によれば、当時ペニーと同棲していた恋人がDV男だったそうです。

ペニーと幼いアーサーの2人は、日常的に暴力を受けていたことが分かります。

発見された時、アーサーの体中には多くのアザがあり、頭に大ケガをしていました。

劣悪な生活環境のせいで栄養失調になり、DN男に身体を縛られて何度も何度も虐待を受けていたのです。

 

その事実は、当時の新聞の記事として残されていました。

ペニーは、アーサーをかばうことなく、ただただ・・・・虐待される姿を傍観していたと記されています。

母親の、闇の側面が垣間見えるシーンでした。

 

 

笑う癖は病気ではなくペニーが虐待を黙認していたことで後遺症が残ったもの

当時のペニーの証言を元に、アーサーは「虐待を受けている時も笑っていた」と記録に残されていました。

アーサーの笑いが止まらなくなる病気は、この時の虐待が原因だったのです。

もし、この時ペニーがアーサーを守るために保護要請を出していれば、今のように苦しんで生きることはなかったでしょう。

 

それを、ただの病気と言い張る母・ペニーに対して不信感が募ります。

人生を不幸にした根本的な原因が母親だと知り、アーサーは表現し難い感情にさいなまれます。

 

信じていた母親の嘘に対する失望からアーサーは怒り狂い殺した

信じていたもの全てを失ったアーサーは、深い「悲しみ」と「虚無感」に襲われました。

彼は、笑いを止める事が出来ずに一晩中、大声で笑い続けます。

 

その後、脳卒中で倒れ入院しているペニーの元に訪れるアーサー。

彼女にハッピーと呼ばれていた人物は、別人に変化していました。

すでに、彼にとってペニーは母親でも何でもなかったのです。

アーサーにとって、目の前で眠っている老女は自分を不幸に陥れた、ただただ・・・・憎むべき存在でした。

 

複雑に絡まり合う負の感情から、アーサーという人格とは決別して、もう1人の自分を受け入れます。

僕は病気なんかじゃない。これが本当の僕だ!

本当の自分、それがジョーカーでした。

 

彼の決断は、現実を捨てて妄想の中で生きていくことを意味します。

気付けば母親の顔を枕で押さえつけて、窒息死させていました。

こうして、ようやく母親の呪縛から逃れることができ、ジョーカーとして自由の身になれたのです。

これが、アーサーの母親殺しの真相でした!

 

 

【ジョーカー】母親ペニーについてまとめ

 

まとめ

●アーサーは「笑いが止まらなくなる発作」に苦しみ、母・ペニーから病気だと言われていた

● 実母と思っていたペニーは義母で、自分は養子だった

●アーサーは過去に、ペニーの恋人だった男に虐待されていた

●笑う癖は病気ではなく、ペニーが虐待を黙認していたことが原因で、後遺症が残ったもの

●信じていた母の嘘に対する失望から、アーサーはペニーを殺した

 

アーサーの母・ペニーは精神障害の診断を受けていて、まともな育児ができませんでした。

そんな女性が、なぜ養子制度を利用することができたのでしょうか?

そして、アーサーも精神障害を抱え、入院した経歴があります。

 

映画の設定は1981年となっており、当時ゴッサムシティが長年荒れていて、行政が行き届いていなかったことになっています。

この精神疾患を持つ親子が2人きりで生活すること自体、現代ではありえないことです。

いかに、市と行政の関わりが希薄だということが分かります。

 

アーサーの最大の過ちは、精神障害を持っていた母親を愛しすぎたあまり、彼女の意のままに生きようとしてしまったことでしょう。

母親に対するひたむきな愛情の結果、狂気に満ちた「ジョーカー」を生み出してしまったと言えるのではないでしょうか?

 

 

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