映画【パラサイト 半地下の家族】は、「貧富の層」「経済格差」について表現されている作品です。
高台の大豪邸に住む富裕層のパク家に、半地下に住む貧困層のキム家が寄生生活を送るところから、物語は始まっていきます。
キム家の息子・ギウが家庭教師の面接の為にパク家を訪れた際、インディアンの格好をしてはしゃいでいたパク家の息子・ダソン。
ダソンは裕福なパク家で自由奔放に育っている様子でした。
そんなダソンですが、自分の家の玄関から不自然に放たれるモールス信号に気付きながら、無視をするというエピソードがありました。
実は、地下に住みつく貧困層のグンセという人物が「SOS」を知らせるために、ピカピカさせていたのですが、ダソンはなぜ無視をしたのでしょうか?
子供であれば、素直に怖がったり、両親に伝えたりするのが普通ですが、それすらしませんでした。
今回は、【パラサイト 半地下の家族】に登場するダソンについてお話します↓↓
- ダソンがモールス信号を無視した理由
- 貧富との経済格差について
目次
【パラサイト】ダソンがモールス信号を無視した理由は?
誕生日に雨の中、庭のテントで1人キャンプをしていたダソン。
父親の・ドンイクはリビングのソファから庭のテントを眺めながら、無線でダソンと連絡を取っていました。
玄関のライトが点滅していること、そしてボーイスカウトの経験からそれがモールス信号であるということに気が付きました。
しかし、ダソンは何もせず、ただただそれを見続けるだけでした。
一体なぜでしょうか?
その理由について、以下考察します↓↓
ダソンは家の地下から電気が点滅するのを見ていたが誰にも言わなかった
数年前の誕生日、ダソンが幽霊を見てひきつけを起こしたことがありました。
ですが、ダソンはそれが幽霊ではなく、地下に何者かが潜んでいると察していたのです。
それは、ダソンの絵にも描かれていました。
美術の先生という名目で、パク家に寄生したキム家の長女・ギジョンは、ダソンの描いた絵が壁に掛かっているのを目にします。
それは、ダソンの自画像だとパク家の母・ヨンギョは言っていました。
ですが、よく見ると右端の下は黒く塗りつぶされ、そこから上に向かって矢印が伸びており、地下から男が上がってきたことを表しています。
つまり、絵のモデルは自画像ではなく地下に住む男を表していたのです。
◆ダソンの絵についてはこちら↓↓
大雨の日、テントの中から点滅する玄関のライトを眺めていたダソン。
いつかの誕生日に目撃した、地下に住む男からのメッセージだと気付いていながら、何もせず、誰にもそのことを話さず、ただただ見つめていただけでした。
この引きつけを起こすほどの恐怖心がありながら、黙って見過ごすダソンのこのシーンにはどこか謎が残りますね。。
物語のオチはギテクがギウにモールス信号を送るシーンだった
物語の結末で、パク社長を刺殺した後にギテクは駐車場から再びパク家に侵入し、そのまま地下に寄生していました。
ギテクは自分がここで存在していることを「いつか家族に届くように」と願いを込めて毎晩モールス信号を送り続けます。
ギウはグンセに石で頭を殴られ重症を負いましたが奇跡的に回復し、後日パク家が住んでいた大豪邸を眺められる山へと登ります。
すると、玄関のライトが不自然に点滅していることに目を向け、それがモールス信号であるということに気が付きました。
大豪邸の地下で父親が今も生きていること、また、ムングァンの遺体は埋葬したという内容で、「心配するな」というメッセージでした。
返事すら出来ないものの、ギテクからのモールス信号を介したメッセージがギウに届くところで物語は幕を閉じます…
このように、ダソンが気付いていたシーン以外でも、モールス信号が使われていました。
ギテクのモールス信号には、ダソンは関与していませんが「モールス信号」が持つ意味について、「共通する何か」がありそうです。
金持ち息子としての経済格差から考察
パク社長は、度々「一線を越えてはいけない」という言葉を口にしていました。
これが持つ意味には、富裕層が貧困層に対して持つ、「ある考え方」があったのです。
また、ヨンギョはパーティの日に招待客に電話を掛けることに夢中で、大雨で被災した貧困層がいるというニュースを気にも留めていませんでした。
この富裕層が持つ、貧困層の人たちに対するイメージが、この作品にも表れています!
そして、それは子供のダソンにもしっかり影響を与えていました。
ダソンは地下の住人が貧困層の人間だと匂いから気付いていた
「運転手と家政婦は同じにおいがする。ジェシカ先生も!」とダソンが言うシーンがあります。
彼は貧困層である人物を、「においで判断できる」という特技を持っていました。
地下に男が住んでいることを知っていたダソンですが、においからそれが「貧困層の人間である」ということも感じていたのかもしれませんね!
富裕層は貧困層を「一線」という言葉を用いあえて触れずにスルーしていた
「運転手は一線を越えない。越えているのはにおいだけだ。」と、パク社長がギテクについて話すシーンがあります。
貧困層について関心はなく、目を当てようとも思っていないが「一線さえ越えなければそれでいい」といった考え方のようでした。
雇っている4人がたとえ貧困層であり、大豪邸に寄生していたとしても、その【一線】さえ越えなければ良しとし、スルーして過ごしていたようですね。
ここで言う、パク社長の「一線」とは、以下の意味があると考察できます↓↓
- 富裕層は、何があっても貧困層に関心を示さないし、助けもしない
- 貧困層は、富裕層に虫のように寄生しても良いが、盗みを働いたり危害を加えることはいけない
近寄るどころか、金持ちは貧困層を見ようともしていないことが分かります。
金持ちのパク一家の息子ダソンも両親の教えを守り無視したと考察
そんな両親のもとで生まれ育ったダソンは、貧困層の人間を見ないようにし、また一線を超えないように過ごしていたようです。
その為、地下に男が住んでいることも誰にも言わず絵で表し、点滅する玄関ライトのメッセージも誰にも話さずにいたようですね。
すべては、一線を越えないようにしていたということが見て取れます。
大金持ちで、大豪邸に住み、何一つ不自由なく育ってきたダソン。
知らず知らずのうちにそういった金持ち思考を持つようになり、地下に住む貧困層の男からのメッセージを両親に伝えると「一線を越えてしまう」と判断したようです。
【パラサイト半地下の家族】ダソンとモールス信号まとめ
パラサイトのダソンくんで退勤 pic.twitter.com/4oT8noj2Dw
— うえ/ちゃんれす (@ue_virgola) June 8, 2020
- 金持ちのパク家で生まれ育った息子・ダソン
- キム家の独特の貧困のにおいにも、いち早く気が付いた
- 誕生日に幽霊を見て倒れるも、それが地下に住む人間・グンセだと気付く
- 描いていたのは自画像ではなく地下の男
- グンセのモールス信号のメッセージを知るも、何もしなかった
- 金持ち息子として両親の考え方の影響を受け、「一線を越えてはならない」という親の教えを守ったから
「地下から地上へ」
つまり、「貧困層から富裕層へは声は届かない」ということを、モールス信号を通じて表しているシーンでした。
「富裕層は富裕層、貧困層は貧困層というように、同じ階層の人間同士でしか通じ合えない。」
そのようなことを意味していて、なんとも切ない気持ちになりますね・・・
無垢な子どものダソンですが、生まれ育った環境により富裕層としての考えが備わっている為、一線を超えないようにモールス信号を無視した、ということでした!