苦境に立たされても、何度転んでも立ち上がる、主人公ジュディ・ホップスが活躍するズートピア。
ズートピア史上初の、ウサギ警官であるジュディの奮闘劇には、見ている視聴者も思わず応援したくなってしまったことでしょう。
ところが、一部ではジュディに対して「ウザイ」「好きじゃない」という声も上がっています。
今回は、ジュディに対してのネガティブ意見を考察します。
- ジュディのうざいと思われる点
- 視聴者の意見について
目次
うざい・嫌いという視聴者の声
#許しがたい映画の登場人物
あと個人的にだけどニンジンちゃんがクッソ嫌い、ニックがいたからなんとかなったやつやんけ、ズートピアは好きです pic.twitter.com/79S0mRrdsG— 寒暖コアラ@私生活垢 (@bigoppaiboy) November 12, 2022
ジュディはどんなにウサギと馬鹿にされても、警官になることを「無理だ」とあざ笑われても、できる限りの努力をして、いつも前向きにひたむきに頑張ってきました。
しかし、こんな純真で頑張り屋さんなジュディに対して「嫌い」という意見が一定数あるようにも思えます。
※「うざい」という意見は見つかりませんでした
ズートピア
凄く苦手だった
ちゃんと謎解きをしてるのは良かったけどメッセージ性が露骨過ぎてもはや説教臭い。エンタメとして楽しくない。
独善的で傲慢で衝動的で感情的なジュディがはっきり言って嫌いだ。事件解決はほとんどニックと運のおかげだし。
この作品を取り巻く雰囲気も気持ち悪いや pic.twitter.com/RWAjJUW8bc— 水のようなつけ心地。(ゾンビーバー部平部員) (@mrkoikelovesmen) September 24, 2024
ほぼ毎日ズートピア見てるんだけど、見すぎて嫌いになってきた良い話だと思ってたけど、主人公のジュディは警察官バカにしてるし、上司の言うこと聞かない自分が正しいと思ってる系で私が嫌いなタイプだし…
早く他の映画にハマって欲しい— Mina (@mina_i) July 18, 2021
( ゚д゚)ハッ!!そっか、わたしニックが好きだからズートピア見てたのか……!今気づきましたよ!!!だってジュディ嫌いだもんね、そうだよね、声さえ変えてくれりゃ好きなんだけどね
そうだよな〜そうだった〜〜!ニックのカッコよさだけの映画だったわ〜〜()— ℝℂ (@_Rinonono) November 18, 2018
なぜ、主人公がそのように思われるのでしょうか?
以下、で解説します↓↓
偏見や差別的思想を持っている矛盾
ジュディは自身に対して向けられる偏見や差別的思想に関して、全く意に介さず努力で跳ね除ける姿勢を視聴者に見せています。
これまで「ウサギが警察官になるなんて無理」や、名前すら呼んでもらえない「ニンジン」呼びなど、ジュディは自身にたくさん偏見を浴びてきました。
そのため、他人に対してはできる限り偏見や差別意識を持たないことを意識していたのではないでしょうか。
ところが、「ジュディも肉食動物に対しての偏見以外にも、細かいところで偏見や差別的思想、持ってない?」という意見がちらほら。
例えば、署長のボゴによって駐車違反切符を切る役割を担わされたとき。明らかにジュディは落胆の表情を浮かべています。自分がウサギだからこんな役割を与えられたのだと言わんばかりの落ち込みようでした。
そう。
彼女からしたら、「こんな役割」なんです。
常に偏見や差別的思想に晒されてきて、他人に対しても配慮をしているはずのジュディですが、明らかに駐車違反の切符を切る仕事を下に見ているのです。
そもそも、ジュディの両親からずっと勧められていたニンジン農家の仕事も、「こんな仕事」と思っていた節すらあります。
職種に貴賤はないはず。ジュディの、無意識化の差別意識に矛盾を感じて「嫌い!」と思う視聴者がいてもおかしくはありませんね。
シーン① 駐車違反の取り締まり
前述した通り、駐車違反の取り締まりを命じられた時に、ジュディは明らかに落胆をしていました。ボゴ署長は、パワハラ体質ではあると思いますが、彼は目立つ新人には例外なく駐車違反の切符切りを命じたのではないでしょうか?
それを、ジュディが勝手に「ウサギだから」と解釈をしたのです。
駐車違反の取り締まりを言い渡された後に、「自分はトップクラスの成績を収めているので、連続動物失踪事件の一つくらいハンドリングできるんじゃないかと思う」と抗議をしています。
その時のジュディの言葉です。
Sir, I’m not just some token bunny.
日本語の字幕では「私仕事はできます」と訳されていますが、この原文にはそれ以上のことが含まれているように思えます。
この「some token bunny」は、「token minority」をもじった言葉だと考えています。
Token minorityとは、マイノリティーに属する人も組織に含まれていないと、その組織は差別的な意図を持っていると思われてしまうことから、実力を評価したわけではないお飾りとして組織に入れられたマイノリティーな人を指す言葉です。
ジュディ自ら、「自分は組織の心象をよくするためだけに雇われたどこかのお飾りマイノリティー(ウサギ)じゃないんです」と言っているのです。
並外れた努力をしてきたからこその自信ではあるものの、一定数存在すると思われるマイノリティー層を明らかに下に見た発言と取れるこの一言。
ジュディの傲慢さのカケラが見えてしまっている部分かもしれません。
シーン② 肉食動物への批判
差別的な思想に晒されてきたジュディなので、他の種に対しては差別的思想も偏見もないクリーンなキャラであってほしいですよね。
ですが、実際にジュディも肉食動物に対しての偏見・差別があったことは、本作の主題にも大きくつながる点です。
連続動物失踪事件を一部解明したジュディとニックでしたが、まだまだ真相は闇の中。そんな中でも、一大事件が解決に向かっているということで記者会見を開きます。
すべてが明らかになっていない中なので、明言を避けながら話すジュディですが、「被害者に共通項はあるか?」という質問から少しずつ暗雲が立ち込めてきます。
「被害者は全員肉食動物」
「なぜこんなことが起きているのかはまだわからない」
と言った後に、「もしかしたら肉食動物のDNAが関係しているのかも」と、推測でしかない内容のことを話し始めます。
とても純粋に、心の底から思っていることを悪気もなく話してしまうのです。
それまで微笑みながらジュディが渡してくれた警察官への切符を眺めていたニックも、一瞬にして顔色が変わります。
草食動物と肉食動物とでは明らかに異なる生態系であるとジュディは考えており、太古の昔からの習性が今回の事態を招いているのであると信じて止まないため、ニック及びほかの肉食動物が傷つくかもしれないという可能性を排除した発言をしてしまったのです。
記者会見を終えた直後、傷ついたニックに「キツネも肉食動物じゃないか」とごもっともなことを言われても「ほら、ニックはあれらとは違うじゃん」といった、明らかに被害者を「行方不明になってもしょうがなかった」のような言い方をしています。
これにはニックも激怒。もう何を言っても彼女には伝わらないんだなとあきらめてしまいます。
視聴者も、この瞬間に「あ、ジュディ何が失言だったか全くわかってないわ」と落胆をしたことでしょう。
シーン③フラッシュとのやり取りのシーン
これはズートピアの中でもほっこりシーンかつ笑えるシーンですが。。
時間がないジュディに対して、素でものすごくゆっくりなペースで会話をするフラッシュが対応してくれます。
ただ、ニック曰く「最も早い」職員とのこと。
フラッシュが働いているDMV(Department of Motor Vehicle)に入るや否や、職員全員がナマケモノであることにジュディは驚愕します。
「早く終わると言ったじゃないか!」とニックを非難しますが、ニックはすかさず「ナマケモノだからって早く終わらないと思ってるの?ズートピアは誰でも何にでもなれるところでしょう」と、偏見の視点を垣間見せたジュディをたしなめます。
本当に偏見のない人であれば、ナマケモノの姿を見ても、見た目だけで判断をせずに「きっとニックが言うんだから仕事が早いんだろう」と思うはずです。
実際は、ニックの嫌がらせも相まって、ものすごく時間がかかるのですが…。
アメリカのDMVは免許センターのようなところで、アポイントを取って行ったとしても2時間待たされるのはザラなんだとか。
そんな風刺をナマケモノで表現しているのも面白いと思いますが、ジュディにはイライラの種にしかならなかったようです。
【ズートピア】ジュディホップスが嫌われる理由まとめ
「 #ズートピア に来る奴は
何にでもなれると思ってる
でも無理なんだよ
自分は変えられない 」(´-`).。oO(ずるいキツネ、マヌケなウサギ…あまりにも正反対な考えの2人…)#ズートピア#4週連続金ローでディズニー祭り pic.twitter.com/Ed56OrPrqI
— ディズニー・スタジオ(アニメーション)公式 (@DisneyStudioJ_A) December 8, 2023
- 差別や偏見を被ってきた割に、自分も差別的
- 自分の差別思想には無関心で、人を傷つけてしまう
ジュディはまるでジャンプの主人公のようなポジティブさをもっていますが、一方でしっかりと嫌われる側面も持っていました。
これらは誰にでも当てはまりかねない欠点なので、ズートピアを見てわが身を正すきっかけになることが製作陣の狙いだったのかもしれません。