おやすみプンプンはなぜ鳥(ひよこ)?形態や人間の姿イケメン説についても

公開日: 2024年7月18日 | 最終更新日: 2024年7月19日

 

賛否両論がありながらも、根強い人気を誇る浅野いにお先生の代表作『おやすみプンプン』。

否定的な意見の中には、「主人公及びその家族が鳥のような形をしているのがどうにも受け付けない」という意見もあります。

本日は、プンプンがなぜ鳥のようなデフォルメされた姿で描かれているのか、その理由を考察します。

この記事を見て分かること
  • プンプンがひよこの姿の理由
  • 人間の姿がイケメンだという説について

 

 

鳥の理由は「主人公は読者自身」のため

 

作者である浅野いにお先生が、連載中にインタビューでプンプンの描き方について質問をされていました。

その際に、「主人公は読んでいる自分自身であるべき。どれだけいい内容でも、絵柄が気に食わない、顔が気に食わないという理由が出る。それなら顔は固定しないほうがいいのでは」といった趣旨のことをお話されています。

読者が自分自身を主人公に投影できるように、デフォルメされた鳥の形をしているということでした。

 

プンプンだけではなく親族も鳥描写

実は、主人公のプンプンだけではなく父親、母親、叔父(母親の弟)、最終話で生まれる叔父の子どもなど、親族はみんなデフォルメされた鳥の形で描かれます。

それぞれ少しディテールは異なるので、誰がどのキャラクターかはっきりわかるようになっています。

プンプンの顔が想定できてしまうような親族は、すべて鳥の形に変容させることで、プンプンの見た目をイメージしづらくしたのだと思います。

それもすべて、読者自身が主人公になるための仕掛けなのでしょう。

 

 

ヒヨコ以外にも数種類の形態がある

小学生時代から高校生時代までは、鳥の形をしているプンプンですが、南条と出会ってからは様々な形に変化しています。

南条に物語を作るように言われ、書いてきたときのプンプンは、誰に対しても心を閉ざしている状況だったので、正四面体、もしくは三角形の形に。

母親を亡くし、しかも最期まで母親を許すことができなかったことの現れなのか、とげとげしているようにも感じます。

 

その後、プンプンはアパートの隣人である「たーくん」という大学生として偽の人生を歩もうとしました。

偽物のプンプンであるために、顔は鳥のデフォルメ、首から下は、よくいそうな大学生の格好をした人間となっています。

本当のプンプンを鳥の形としたときに、明らかに偽りの人生を歩もうとしていることがわかります。

愛子ちゃんに出会ってからは、体が人間のまま、顔は黒く長くなり、目がたくさん縦に並んだり、左目を潰され、右目だけがリアルに描写されたり、角が生えたりと、不穏な形に変容を繰り返します。

かつて一目惚れした愛子ちゃんが、そこらへんにいそうな女の子になってしまっていた絶望感や、殺人というとんでもないことを犯してしまった感情など、どす黒いものがあふれ出てくる様を描いているようにも見えました。

 

人間の姿は描かれていない

作品を通して、プンプンが頭の先からつま先まで人間の姿になって描かれていることはありません

前述したとおり、首から下だけ人間ということはありました。

 

ですが、最終話が近づくにつれて、少しずつ人間の姿であるように描かれているのです。

というのも、この物語自体が南条が作った物語であり、鳥のようなデフォルメされたプンプンの形は、物語を考えているときに三村がメモ帳に書き残した落書きなのです。

そのため、最終章で南条がプンプンを廃工場で見つけたシーン以降は、南条にとっての現実の世界となっています。

 

最もプンプンの顔がはっきりと描かれているのは、南条に救出された後の病院のシーン。

警察に事情聴取をされ始め、自分の名前を言わんとするところです。

手術をした左目は包帯で見えなくなっていますが、右目と口がしっかりと描かれています。

 

また、プンプンはそれまで、発言のすべてが吹き出しではなかったのですが、夢の中の愛子ちゃんに向けて言葉を発するシーンでは吹き出しになっています。

そして目覚まし時計を止める手が、しっかりと人間の手で描かれているのです。

最終話、ハルミン視点で物語が終着点に向かう際も、プンプンは途中まで人間の体で描かれます。

これはハルミンの視点によるものだからでしょう。ただし、顔は吹き出しやモノローグなどで隠れているので、見ることはできません。

このように、体だけ人間という描かれ方はするものの、プンプンの頭からつま先まで人間の姿として描かれたことは、本作を通じて一度もないのです。

 

 

ファンの間ではイケメン説もある

プンプンの顔がわからない中で物語が進んでいきますが、彼の容姿に言及するシーンはいくつかあります。

まずは、愛子ちゃんがプンプンを気に入る小学生時代。

いくらプンプンから好きといったからといって、あまりにも残念な顔をしていたら愛子ちゃんも気に入りはしないでしょう。

 

さらに、小学生時代にはクラスメイトに「ジョニーズ系」(旧ジャニーズのパロディ)と言われています。

次に、南条がプンプンの容姿を言及したシーンがあります。

プンプンの顔が好みと言っているのです。

南条の元夫も塩顔の整った顔をしているので、もしかしたら同じ系統の可能性もあります。

 

また、南条が描いたプンプンの肖像画は、目こそ消されているものの、鼻と口は整っていることがわかります。

変に出っ歯だったり、団子鼻だったり、ということはないです。

 

最後の警察から事情聴取を受けているシーンでは、前述の通りプンプンの目と口が描かれています。

口はぽってりとした厚めの唇、目は穏やかそうなくっきり二重と、イケメンと言われる要素はそろっていそうです。

 

 

【おやすみプンプン】鳥の姿の理由についてまとめ

 

まとめ
  • 鳥の理由は「主人公は読者自身」のため
  • プンプンだけではなく親族も鳥描写
  • ヒヨコ以外にも数種類の形態がある
  • 人間の姿は描かれていない
  • ファンの間ではイケメン説もある

主人公が鳥の姿をしている漫画なんて、後にも先にもこの作品しかないのではないかと思うくらい斬新な設定です。

これが原因でこの漫画に入り込めないという人もいるかもしれません。

しかし、深く考えずに読んでいくとプンプンに自分自身を投影できるかもしれませんね。

 

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