【チ。ー地球の運動についてー】の2章から登場する才女、ヨレンタ。
その常人離れした聡明さと卓越した行動力から、屈指の人気キャラでもあります。
以下で、その経緯をご説明していきます……!
※この記事には「チ。」の重大なネタバレが含まれています。ご注意ください。
目次
ヨレンタの最期は自爆死
チ。5巻
やっと読み終わり2人の結末回だった
どんな行動が誰に繋がるのか、布石の置き方と回収が見事で舌を巻く他ない
最後の引継ぎの仕掛け方、とてもじゃないが自分には思い付かないし予想もしてなかった。何か元になる逸話とかあるのかなあとヨレンタちゃんはかわいいからもっと出番増えてて pic.twitter.com/Acsc31ikeJ
— Shin (@HShin615) September 30, 2021
ヨレンタの死亡は、原作コミックの7巻48話で描かれます。
オグジーらと出会ったころ(2章当時)には14歳だったヨレンタちゃんは、そこから25年の月日が経った7巻(3章)では、39歳のヨレンタさんへと成長していました。
オグジーとバデーニは2章で、地動説に携わったものとして処刑され、死亡しましたが……ヨレンタさんは3章になってから、火薬によって自死します。
どうしてそんなことになったのか? 以下で細かく解説していきますね↓↓
経緯① 父に溺愛される勤勉な少女・ヨレンタ
ヨレンタさんは幼いころから、冬の寒い部屋でも一日中勉強することができるほどに勤勉な少女でした。
手がかじかみながらも文字の勉強をし、仕事帰りのお父さんにがんばって書いた感謝の手紙を渡す娘……そんな優しい女の子です。
お父さんもそんなヨレンタの勤勉さと優しさに感動して、冬の間の勉強もはかどるようにと手袋をプレゼントしました。
ただその手袋は、注文に行き違いがあったようで大人用のものが届き……幼いヨレンタさんには大きすぎました。
お父さんが私のために手袋をくれる。嬉しいな。お父さんの期待に応えるため、もっと勉強をがんばろう!と喜んでいたヨレンタさんは、届いたぶかぶかの手袋にショックを受け、お父さんと喧嘩になってしまいます。
八つ当たり気味に「神様が悪い!」と言ってしまったヨレンタさんを、信心深いお父さんは叱責しますが、すぐに謝罪し、和解。
そしてこの一件以降、父子はますます絆を強めました。
ヨレンタさんは14歳になって、家を出て仕事をするようになっても、ずっとその手袋を愛用し、大切にしています。
経緯② ピャスト伯とオグジーらを引き合わせる
ヨレンタさんの仕事は、天文学の権威・ピャスト伯の研究助手です。
1章の主人公のラファウは12歳にして大学進学が決まっていた秀才でしたが、ヨレンタさんも彼に負けぬ才能と頭脳を持った才女だったと言えるでしょう。
現代よりも女性の立場が低かった時代に、レッテルを張ることなくヨレンタさん自身の才覚を正しく見出したのが、オグジーとバデーニです。
ヨレンタさんは2人と会話するうち、彼らが目指しているものがC教にとっての「異端」、「地動説」の研究であることに気づきますが、「真理」を目指す彼らの姿勢に強く惹かれます。
そして、自分の雇い主であるピャスト伯と、オグジー、バデーニを引き合わせました。
ほぼ独力で地動説を研究しないといけなかったバデーニにとって、ピャスト伯が保有していた膨大な史料は、まさに値千金の価値がありました。
バデーニは作中で地動説を完成させましたが、この史料なしには不可能なことだったでしょう。
一方で、オグジーは「(習っていないから)文字を読めない」という圧倒的ハンディキャップのせいで、そんなバデーニを応援するくらいしかできなかったのですが……
オグジーは、ヨレンタさんに尋ねます。「文字が読めるって、どんな感じなんですか?」と。
……もともと、「地球は宇宙の底辺であり、この世界に救いなどない。だから天国に早くいきたい」と希死念慮じみた考えを持っていたオグジー。
そんなオグジーに、最もプラスの影響を与えたのが、ヨレンタさんだったのではないかと個人的には思います。
ヨレンタさんの「この世は、最低と言うには魅力的すぎる」「大地と夜空が一つなら、どんなに汚してもこの世から輝きは簡単に消えない」という真摯な言葉に、オグジーは強い勇気をもらいます。
なので、これまで興味を持つ必要もなかった「文字」について、訊ねたんですね。
ヨレンタさんは、こう答えました。
‟文字は、まるで奇蹟ですよ。
アレが使えると、時間と場所を超越できる。
私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど、
文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。
そんなの…まるで、
奇蹟じゃないですか。
……普通、年の離れた大男に「あなたたちが当たり前に使っている文字って、どんな感じなんですか?」なんて漠然とした質問をされても、「は?」ってなりませんか?
絶対にバデーニなら「は?」って言うもんな、バデーニならな
でもヨレンタさんは、馬鹿にせず、怯えず、おもねらず、真剣に――自分の言葉で「文字の持つ力」のすごさを、オグジーに伝えました。
だから、オグジーは「自分も文字を書いてみたい」、と思いました。
ただ早く天国に行きたい、と願うだけだった青年を、ヨレンタさんは変えたのです。
そしてオグジーはこの後、ヨレンタさんに文字を習い、「本」を書きはじめました。
オグジー、バデーニ。性別も年齢も違う2人と、しかしヨレンタさんは「地動説」の研究――「真理」を通して、よき友となったのです。
経緯③ オグジーとバデーニがノヴァクに連行される
オグジー、バデーニとよき友になったヨレンタさんでした。
が、ピャスト伯から史料を譲ってもらったバデーニにより「地動説」研究チームからは外されます。
これは、バデーニが「自分ひとりで研究を行いたい=自分の名前を歴史に残したい(※自分だけの)」自己中心野郎だからであり、ヨレンタさんをこれ以上「異端」に巻き込まないためでもありました。
本当、自他共に認める自己中心野郎であるバデーニが、「もし後日、我々が捕まったとしても君は無関係だと貫いて、我々のことは切り捨てろ」「それが君の為にも、地動説の為にもなる」とまで言ったのは、やはりヨレンタさんの才能を心底認めていたからだと思います。
そして、その際に交わしたヨレンタさんとの約束どおり、バデーニは地動説を完成させます。
それを祝して、オグジー、バデーニ、そしてヨレンタさんは酒場でささやかな祝杯をあげることに。
しかしそんな中、その酒場にノヴァクが現れます。
ラファウやオグジーらを火刑に追い込んだ張本人であり、1章・2章で「冷酷な異端審問官」として描かれていた、あのノヴァクですよ。
ノヴァクこそが、ヨレンタさんに手袋を贈った、親バカな「お父さん」だったのです。
オグジー視点のノヴァク
「異端」を拷問し、火刑をあくび交じりに眺め、白旗を振った相手にもボーガンを向ける異端審問官
ヨレンタ視点のノヴァク
娘を溺愛し、手袋を与え、「目の前で泣いている子供に寄り添う以上に優先されることなんて」と悩む父
かつて彼と一緒に仕事をしたことのあるオグジー(オグジーは覆面姿だった)。
父親から頑なに何の仕事をしているのか教えてもらっていなかったヨレンタさん。
両者の中で全くイメージが違うノヴァクは、この酒場での会話からオグジーとバデーニに「異端」の匂いをかぎ取り、処刑にまでこぎつけます。
経緯④ 決死の逃亡と「異端解放戦線」の創立
オグジーとバデーニは、逃亡を図るも時間切れでノヴァクら異端審問官に捕縛されます。
1章時点では「異端は二度捕まると死刑」。
逆に言うと「一度目の捕縛では基本的には死なない」訳ですが、オグジーはバデーニを逃がす際に異端審問官らを3人殺してしまったので、即処刑となったようでした。
ただし、バデーニもただで死んでやる気はなかったようで、捕まる前に「予防策」をしかけていました。
それによると、うまくいけば焼却したはずの文書も復元できるそうです……オグジーの書いた「本」が、です。
それを期待して、2人は抵抗することなく、絞首刑を受け入れその後に火にかけられました。
しかし、事態はそれだけですみません!!
オグジー、バデーニが連行された裏で、ヨレンタさんもまた「異端」として連行され、拷問されていたのです!
ここはC教内の政治とかいうか嫌がらせというか……早い話がノヴァクに対していい感情を持っていなかった助教司祭が、ノヴァクの失脚を願って娘のヨレンタさんを利用したんですね。
その助教司祭によってヨレンタさんは前歯を抜かれてしまうのですが、それを察した新人異端審問官によって助け出され、馬で逃げることに成功。
ただし、逃亡補助をした新人異端審問官はリンチの後に火刑に処され、その焼死体がヨレンタだと、ノヴァクには伝えられます。
ノヴァクは、最愛の娘が「異端」だったから火刑で死んだという嘘を信じ込まされ、それ以後25年、廃人のように生きます。
逃げ延びたヨレンタさんは、何故ノヴァクに会いに行かなかったのでしょう?
明言はされていないので、予測ですが。。。↓↓
- ヨレンタさんは拷問前に、はじめてノヴァクが「異端審問官」だと聞かされた
- 自分が地動説という「異端」に惹かれ、信じるようになっていることを自覚した
→自分と父親の立場が対立するものだと気づいた
- 「異端」として殺されそうになっていることを気づいていた(事実、アントニ助教司祭には殺す気しかなかった)
→生きていたらまたいつC教に捕らわれるかわからないため、存在を伏せるしかなかった
- 生き延びる中で、オグジーやバデーニを処刑したのが父だと気づいた
→仕事とはいえ、友人を殺した父を許せなかった?
……などの理由が考えられますかね。
とにかくヨレンタさんは、父に生存を知らせることなく、ノヴァクとは全く違う道を歩くことを決めたのです。
その人生の大半は作中で語られていませんが、逃亡生活中、20歳ではじめて人を殺したのは確かなよう。
そして、C教に捕らえられた「異端」を開放する武装組織、「異端解放戦線」を立ち上げ、その組織長になりました。
C教の教えによって友を殺され、C教の内部抗争に翻弄され、C教の異端審問官だった父と決別し、しかし、C教の新人異端審問官に命懸けで助けられたヨレンタさん。
3章で「C教に自由と人生を奪われた」と語りつつも、C教の謳う「神」の存在は依然信じているヨレンタさん。
そんな彼女のもとにシュミットやレヴァンドロフスキのような人間が集ったのも、「神」を信じていないドゥラカが出会ったのも、非常に興味深い「運命」だと思います。
経緯⑤ ノヴァクと再会するもオグジーの遺した「本」を守る
3章主人公・ドゥラカによって、25年ぶりにオグジーと「再会」したヨレンタさんは「本」を出版するために命を捧げました。
これは比喩ではありません。
ヨレンタさんは「異端解放戦線」のアジトがC教の騎士団に襲撃された際、本の活字(※活版印刷で必要な道具)を持たせた部下が逃げるための時間稼ぎとして、本拠地ごと自爆するのです。
ヨレンタさんが「異端解放戦線」の活動を始めた理由、C教に睨まれるほど各地で活発に活動を行った理由、そして組織長に収まっている理由は、「本」を手に入れられたときに、自分の存在を隠れ蓑にするつもりだったからなんですね……?
組織長、つまりボスさえ捕えれば組織はダメージを受けます。
少なくとも、C教はそう判断するでしょう。
しかし、組織はともかくヨレンタさん自身の一番の目標は「異端」の解放ではなく、本の出版。
ボスという身分を持っている自分が死ねばC教からの追求は当分避けられるはずで、だからその間に本を出版する準備を整えられる、と。
そのためなら、命も懸けられると……。
……ノヴァクとの決別を胸に生きていたヨレンタさんには、「異端解放戦線」という自分のあとを託せる人たち(最後にドゥラカもダメ押しで追加されたし)がいるので、「本」との再会が果たされた以上は、もうこの世に未練がなかったのかもしれませんね。
いや、未練はでも、やっぱりあったはずなんですよ。
それが、このセリフに現れてると思うんです……↓
‟もし今の私が父と対峙したら、道を阻まれたら、どうなるだろうって。
考えただけでそれは人生最悪の瞬間で、混乱して平静を失うと思う。
……でも、
でも、その時にこそ正しいと思った選択をしなきゃいけない。きっとその一瞬の選択の為に、私の数奇な人生は存在する。
積み上げた歴史が動揺を鎮めて臆病を打破して思考を駆動させて…いざって時に、退かせない。
全歴史が私の背中を押す。
やっぱり、お父さん元気かな、元気だといいな、と思ってたんじゃないでしょうか。
だからこそ敢えて、「異端解放戦線」の情報網をもってしても、ノヴァクのことを調べなかったのでは。
「今、父が何をしてるかは知らない。生きてるのか、そうじゃないのか、すらね」というセリフで、「死」と表現しなかったことにも、それがうかがえる気がします。
その父は、ノヴァクはヨレンタさんが死んだと聞かされて25年間酒浸りの毎日を送っていました。
しかしノヴァクは、地動説憎しの心だけでもう一度奮起し、地動説に協力的だという「異端解放戦線」のボスの捕縛の為に騎士団に協力することにしたのです。
親子の再会は、「異端解放戦線」のアジトででした。
騎士団がアジトの前に現着した際、ヨレンタさんはもう火薬を運び終えていて手には火のついた松明を持っていました。
ボーガンを構える騎士団を前に、ヨレンタさんは松明を火薬に――
……振り下ろそうとした刹那、馬車の中からもう1人、男が出てきました。
男――25年分老いたノヴァクとヨレンタさんの目が、合います。
ヨレンタさんは一瞬、腕を止めました。
そして、
‟……でも、
でも、その時にこそ正しいと思った選択をしなきゃいけない。
積み上げた歴史がいざって時に、退かせない。
全歴史が私の背中を押す。
――そのまま松明を振り下ろし火薬に導火させ、自爆しました。
残ったのは、爆風で吹き飛んだ右腕だけ。
これが、ヨレンタさんの最期です。
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3話(単行本1巻まで)の放送が終わった今1巻の表紙を見て欲しい。
内容もさながらこんなに完璧な第1集はなかなか珍しい。
しかし,どんな状況でも観測することをやめないこのラファウはただただかっこいいな#チ球の運動について pic.twitter.com/ycyLKvKbRq
— チ。-地球の運動について-について(非公式ファンアカウント) (@chi_chikyu_) October 12, 2024
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【チ。地球の運動について】 ヨレンタの死や父ノヴァクとの関係まとめ
ヨレンタさんの圧倒的強者感、まごうことなきDNAを感じる。 #チ_地球の運動について pic.twitter.com/it3YZAJNyD
— じねん (@jinensai) May 2, 2023
- ヨレンタさんは父親に愛された娘だった
- ヨレンタさんはピャスト伯とバデーニを引き合わせ、オグジーの意識を変えた
- 拷問から逃亡したのち、「異端解放戦線」のボスとして、各地で「異端」を開放していた
- ノヴァクとは25年、お互いの生存すら知らなかった
- 最期の直前に、ノヴァクと再会する
以上、ヨレンタさんの死因についてでした。
ヨレンタさんは2章の三番目の主人公であり、3章では後輩に後を託す先輩でもありましたね。
大好きなキャラクターなので、解説にもつい熱が入ってしまいましたが、皆さんはヨレンタさんについてどう思いますか?
コメント欄になんでも、ご感想を寄せていただけますと幸いです♪
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